PROJECT

ホットプロジェクト

新たなアサリ生産手法の確立にむけた取り組み(長崎県有明海)

 イニシャルA.N(水産エンジニヤリングカンパニー グループリーダー 2013年入社)
当社は、創立以来、環境と防災のリスクコンサルティングに取り組み、自然環境と社会環境における計画・設計、調査・測量、解析・評価、 対処・対策の各段階で研究・技術開発、委託業務等に携わってきました。 我々、水産ECでは、これまでの実績や知見を踏まえ、漁港や漁場を対象フィールドとすることに特化した「水産土木」、 「水産増殖」に係る業務を実施しています。特に、有明海に面する長崎県諫早市の小長井オフィスでは、有明海を中心としたフィールドで海域、 藻場、干潟等の漁場環境調査や漁場環境改善・再生事業等を主力業務としており、これらのいくつかの取り組みについてご紹介いたします。

<島原産アサリの品質向上に向けた取り組み>
近年、有明海では生息環境の悪化によるアサリのへい死が毎年のように確認されています。特に夏場の高水温、低塩分、貧酸素の影響が大きく、 各研究機関は漁獲量の回復に向けて様々な取り組みを行っていますが、なかなか回復の兆しがみられません。 このような状況の中、近年、有明海湾口部に位置する島原半島沿岸域の「未利用漁場」の活用が注目されています。当該沿岸域は、夏場の高水温、低塩分、 貧酸素の影響を受けづらい環境にあり、有明海の他海域と同様にアサリ浮遊幼生の来遊が確認されています。もとより、当該沿岸域は、波浪の影響を受けやすいことから、 アサリ漁場としての成立が難しく、来遊する浮遊幼生を十分に活用できていない状態にありました。 しかし、近年の研究成果より、当該沿岸域で基質入り網袋を用いることで、来遊した浮遊幼生を効率的に捕集し、 網袋の保護効果によってその後の成貝まで成長可能であることが明らかとなってきました。 そこで、我々は、地元漁協、長崎県、島原市と連携し、島原半島沿岸域で採取したアサリの品質向上に向け、 アサリの身入りを向上させるための取り組みを行っています。

アサリは、海水中の珪藻類等(植物プランクトン)を摂餌して成長します。一般的にアサリが生息する「干潟」は、 潮の干満によって干出する時間が生じるため、当然のことながら干出している間はアサリが摂餌することはできません。 このようなことから、長崎県の諫早湾では、漁獲したアサリを沖合のカキ養殖筏に垂下して、効率的に肥育させ出荷する 垂下養殖が行われています。一方で、長崎県島原半島の沖合でも、海面に敷設したロープによるワカメ養殖が盛んに行われており、 この施設を用いた島原産アサリの垂下養殖に挑戦しています。 現状の結果として、アサリの身入りの指標とされる「肥満度」は、水産庁が示す良好ラインを十分にクリアすることが把握できています。

今回ご紹介した取り組みは、島原半島沿岸に来遊する「アサリ資源」と「未利用漁場」の有効活用に繋がり、 さらには、既存のワカメ養殖漁場を活用することで、品質の高い島原産アサリの誕生が期待される結果となりました。 今後も、品質の高い島原産アサリの増産に向けて、地元漁業者や行政機関と連携し、新たなブランドのアサリ創出を目指していきたいと考えています。



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